桜が散る

雨にうたれているのだ


この間春の陽に誘われて咲いた桜が

ぱらぱら

ぱらぱらと

雨にうたれ
舞うことなく散っていく


美しいものは儚いもの


―――ああ
こういうことなのか


そんなことを考えつつ

じっと

散る花々を見ていた


そのときの桜は

咲いているときとは裏腹に

汚れているように見え


窓に映っていたしかめっ面の顔は

ますます苦くゆがんだ