彼は鳥だ

その黒い外套は翼のごとく

その鋭い瞳は獲物を狙う猛禽のように

その細い四肢は鉤爪のように決して捕まえた獲物を離さない


―――そう私は覚えている


私は彼に連れられる
何の役にも立ったことはないが
どこに行くにも離れることはない


彼に聞いてみたこともある

私は邪魔ではなかろうか、と

私が役に立ったことはないだろう、と


私は貴方の何なのだ、と



彼はこう答えた


御前は獲物だ

そして御前は俺の枷なのだ

俺には御前がいなければいけない

何があろうとも御前を手放すことはできない

―――ある意味、御前は俺のすべてなのだ、と


ならば、私はついていく

彼は私に必要なのだ

彼がいなくなると何もわからなくなる

どうあっても私は彼と一緒でなければならないのだ


彼が私を必要としなくなるならば

そのときには私はもういないだろう


私は彼の獲物なのだ